紅茶専門店の気難し屋の店長7
焼き立てお菓子の話はこちら。
*****
表参道の紅茶専門店は、
オーナー店長の趣味のお店で、
打ち合わせ場所。
あるときから、とても格好のいい男性が
よく打ち合わせにくるようになりました。
いい女のオーナー店長と、男性は
いつも親しげに話をしていました。
その男性は、人当たりもよく
スタッフにも、甘く優しくて、
しかも、ちょっと野性的。
どこでも、とてもモテるんだろうなぁ、と、
私は、ぼんやりと眺めていました。
そんな折り、サトルさんは、念願の2週間の
休みを取り、ハワイに旅行に旅立ちました。
かこが、他のスタッフと一緒に、
お店を任せられるように、育ってくれたので、
やっと休みがとれますよ、
と笑いながら。
*****
サトルさんが、お休みの間に、
いろいろとお店の様子が変わりました。
持ち込まれる植木鉢。
少しずつ変わる内装と雰囲気。
いつも出入りする、甘い素敵な男性。
そうしているうちに、私を含めて、スタッフは
オーナー店長に呼び出され、
次は、紅茶専門店をリニューアルして、
大型TVでサッカー観戦とお酒が楽しめて、
食事がおいしいパブにします、という話を受けました。
新しく店長になるのは、打ち合わせをしていた
その男性で。
もちろん、おいしい紅茶を出すのは変わらない、
よかったら、次のお店でも働いて欲しい、と。
おいしい紅茶を出せるんなら続けます、
と言ったスタッフもいましたし、
お店が変わるんなら、この機会に辞めます、
と言うスタッフもいました。
私は、サッカーに興味はなかったし、
料理メニューの多いお店で、
落ち着いて、こだわりの紅茶を出せる
自信がなかったので、続けることは辞退しました。
ハワイから帰ってきたサトルさんも、
その話は、旅行前に聞いていたそうで。
店員としてなら、次の店で働いてもいいよ、と
オーナー店長は言っていたようですが。
僕も、もっと、こだわりの紅茶とお菓子を出せる
お店を探しますよ、と少し悔しそうに
でもふっきれたような顔で、言っていました。
サッカー観戦を楽しめる、料理の充実したお店。
小さなキッチンでは、紅茶をゆったり入れる場所も
おいしいお菓子を焼くスペースも
無くなってしまうでしょうから、と。
そんな風に、表参道の紅茶専門店は、
ゆるやかに、急に、終わりを告げてしまいました。
*****
そして、これはもう、8年も前の話。
今でも、私は、紅茶を飲むたびに、心の片隅で
彼のことを思い出してしまうのです。
紅茶専門店の雇われ店長だった、
気難し屋のサトルさんは、
きっと、変わらず気難し屋で、どこかでこだわりの紅茶を
入れ続けているのではないかと、私は思います。
ハワイ風のロハスな紅茶専門店が
実現できたかどうかは、私には、知ることのできない話。
彼が今も、どこかで元気に過ごしていますように。
紅茶専門店の気難し屋の店長の話は、
これで、おしまい。
極上の香りで楽しむ、ダージリンの世界。プレミアム・ダージリン・ティーバッグ
幻のボーンチャイナ2客組
◆紅茶専門店の気難し屋の店長◆
1 予告の話
2 気難し屋の店長さんとの出会いの話
3 お店を開ける準備の話
4 紅茶入れの練習の話
5 テイスティングの話
6 焼き立てお菓子の話
7 最終話:オーナー店長の心変わりの話
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表参道の紅茶専門店は、
オーナー店長の趣味のお店で、
打ち合わせ場所。
あるときから、とても格好のいい男性が
よく打ち合わせにくるようになりました。
いい女のオーナー店長と、男性は
いつも親しげに話をしていました。
その男性は、人当たりもよく
スタッフにも、甘く優しくて、
しかも、ちょっと野性的。
どこでも、とてもモテるんだろうなぁ、と、
私は、ぼんやりと眺めていました。
そんな折り、サトルさんは、念願の2週間の
休みを取り、ハワイに旅行に旅立ちました。
かこが、他のスタッフと一緒に、
お店を任せられるように、育ってくれたので、
やっと休みがとれますよ、
と笑いながら。
*****
サトルさんが、お休みの間に、
いろいろとお店の様子が変わりました。
持ち込まれる植木鉢。
少しずつ変わる内装と雰囲気。
いつも出入りする、甘い素敵な男性。
そうしているうちに、私を含めて、スタッフは
オーナー店長に呼び出され、
次は、紅茶専門店をリニューアルして、
大型TVでサッカー観戦とお酒が楽しめて、
食事がおいしいパブにします、という話を受けました。
新しく店長になるのは、打ち合わせをしていた
その男性で。
もちろん、おいしい紅茶を出すのは変わらない、
よかったら、次のお店でも働いて欲しい、と。
おいしい紅茶を出せるんなら続けます、
と言ったスタッフもいましたし、
お店が変わるんなら、この機会に辞めます、
と言うスタッフもいました。
私は、サッカーに興味はなかったし、
料理メニューの多いお店で、
落ち着いて、こだわりの紅茶を出せる
自信がなかったので、続けることは辞退しました。
ハワイから帰ってきたサトルさんも、
その話は、旅行前に聞いていたそうで。
店員としてなら、次の店で働いてもいいよ、と
オーナー店長は言っていたようですが。
僕も、もっと、こだわりの紅茶とお菓子を出せる
お店を探しますよ、と少し悔しそうに
でもふっきれたような顔で、言っていました。
サッカー観戦を楽しめる、料理の充実したお店。
小さなキッチンでは、紅茶をゆったり入れる場所も
おいしいお菓子を焼くスペースも
無くなってしまうでしょうから、と。
そんな風に、表参道の紅茶専門店は、
ゆるやかに、急に、終わりを告げてしまいました。
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そして、これはもう、8年も前の話。
今でも、私は、紅茶を飲むたびに、心の片隅で
彼のことを思い出してしまうのです。
紅茶専門店の雇われ店長だった、
気難し屋のサトルさんは、
きっと、変わらず気難し屋で、どこかでこだわりの紅茶を
入れ続けているのではないかと、私は思います。
ハワイ風のロハスな紅茶専門店が
実現できたかどうかは、私には、知ることのできない話。
彼が今も、どこかで元気に過ごしていますように。
紅茶専門店の気難し屋の店長の話は、
これで、おしまい。
極上の香りで楽しむ、ダージリンの世界。プレミアム・ダージリン・ティーバッグ
幻のボーンチャイナ2客組
◆紅茶専門店の気難し屋の店長◆
1 予告の話
2 気難し屋の店長さんとの出会いの話
3 お店を開ける準備の話
4 紅茶入れの練習の話
5 テイスティングの話
6 焼き立てお菓子の話
7 最終話:オーナー店長の心変わりの話
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