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ミッキーマウスな彼〜3/4

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6.大学進学

7割が男子の理系の大学。
私は、すぐにたくさんの男の子達から声を掛けられた。

クラスメイトや、サークル関係、
バンド仲間、ジャズバーで知り合った人たち。
ミッキーな彼は、京都から岡山へやってきては
大学の講義室にまで乗り込んで、
自分は、かこの彼氏であると強調した。

その頃は、携帯電話なんてなかった。
夜、バイトや、友達と遊んだり、飲み会でいなかったりすると
ぐちぐちぐちぐち、文句を言った。

指輪を必ず、いつでもはめていてほしい。
合い鍵を渡してほしい。
毎晩、電話で話したい。

そして、毎回のように電話で泣くのだ。
かこに会えなくて、淋しい。
かこに会えなくて、不安だ、と。

合間になぜか、ママの焼いたケーキが
世界で一番うまいんだ、なんて自慢話もよくした。

じゃあ、ママと結婚すれば?と
私は、彼をかなり覚めた目で見るようになった。

泣かれるたびに、心が冷えていくのを感じていた。
私は、束縛されるのが、大嫌いなのだ。

私は、男の子に甘えて頼られてしまうことも多いけれど
全面的に甘えられるのは、本当に勘弁してほしい。

一方で、でも、彼は、大丈夫なの?
私と離れたら、どうなってしまうの?
と、心配し、悩んでもいた。

私もまた、重荷を感じながらも、自分を強く必要とし、
愛される価値のある人間だと思わせてくれる彼を
やはり必要としていた。

彼から離れることが、不安だった。

それは、打算の混じった少し狡い気持ちだったかもしれない、
と、思う。


7.留学と決断

夏休み、私は大学の交換プログラムで一か月、アメリカに留学した。

当然、彼には反対された。
でも、私は、彼と距離が置けることに、かなりほっとしていた。

彼のことを考えなくていい日々の中で、私は決めた。
やっぱり、彼と別れよう。

これ以上、束縛されるのは、いやだ。
私の人生の邪魔をされるのは、いやだ。


8.別れを告げる

短期留学から帰ってきて、別れを告げると、
彼は涙を流しながら、こう言った。

かこと別れたら、僕が存在している意味がない、と。

さらに続けて、東北の国立大学に受かっていたのに、
かこが岡山に来たから、蹴って京都の私大にしたんだ、と。

私は、その言葉に、心がさーっと冷めた。

人生の決断を女のせいにした。
自分の存在意義を女にかける。

そんな人とは、付き合ってはいられない。
そこまで依存されて、私は一緒に生きてはいけない、と。

続く

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